(レポート)[AWS Cloud Roadshow 2016 大阪]家庭用燃料電池エネファームの IoT 活用事例 #AWSRoadshow
はじめに
こんにちわ。市田です。
2016年11月22日(火)ハービスホールにて行われたAWS Cloud Roadshow 2016 大阪に参加してきました。 本投稿では、導入事例トラックのセッション大阪ガス株式会社の「家庭用燃料電池エネファームの IoT 活用事例」 についてレポートしたいと思います。
スピーカー紹介
- 大阪ガス株式会社 リビング事業部 エネルギー・ICT開発部 ICTチーム企画グループ 戌角太一氏。
大阪ガスの紹介
- 創業110年くらいの会社
- オージス総研
- 情報処理のサービスしている関連企業
- ガス機器の販売もしてる
- 開発、販売、施工、メンテナンスまで
エネファームとは
- 家庭要燃料電池
- ガスから化学反応で発電できる
エネファームが持っていた課題
- 10年間フルサポートメンテナンスをしてる
- 故障修理費用が無償
- メンテナンス負荷が大きい
- 高い解析スキルが必要
- 現場での故障原因の分析
- メンテナンスの現場待機時間が長い
エネファームシステム概要
- 台所リモコンに通信チップ
- 内蔵チップが宅内の無線LANルーターからインターネット経由でデータをAWS上に送る
- 品質管理部署がその情報を見に行くことでメンテナンスに活かしている
- 今後のサービス拡張等の為に利用している
- クラウドからデバイスに制御信号を送る為にも使ってる
- お客様がスマホで操作する為にもAWSを使ってる
インターネット接続の課題
- エネファームをインターネットに接続するために
- 街のガス屋さんが施工する
- その際ネット接続作業も出てくる
- 誰が接続作業するの?
- エンドユーザのお客様で全てできるのか?
- サービスショップの施工マンに接続までやってもらうことに
ステップ1:体制の構築
- そもそもガスやガス機器しか扱ったことがないサービスショップ
- 概ねベテランの方が現場に多い
- インターネットの知識に明るくない
- マニュアルも作成したが。
- 細かいので見づらい部分もある
- 読めば誰でもできるように工夫した
- サポートできる体制を用意
- NTTフィールドテクノがお客様サポート
- 現地に行って接続設定するサポートまでを対応
ステップ2:課題の解決
- 提案の実態がつかめずフォローできない
- 施工担当者から多くの不満
- 営業できちんとサービス説明がされていない
ステップ3:ステップアップ
- [営業マン]<->[施工マン]<->[管理部署]という連携
- 施工マンからの報告書を工夫
- 通信環境の有無、接続の結果、未接続の理由の記載を必須化
- 問題がありそうな場合は個別にフォローをするようにした
- お客様にネット接続環境の有無をショップの営業が聞くようにした
- 施工マンに有無を伝える
- お客様から「なぜそんなことを聞くのか」と質問される
- 通信できるとことによるメリットを説明することになる。
- お客様のルータの使って100%の接続率が求められている
スキル向上など
- 通信の基本的な知識を教えてほしいという内部からの声
- 勉強会の開催
- お客様からの質問に正確に回答したいという声
- QA集の整備
- 無線LAN環境のない客にも提案したいという声
- 関係会社の商社を通じた無線ルータ販売
現在の接続率
- 約75%
- 4000台を超えるエネファーム
振り返り
- 使ってもらうためのインターネット接続が大切
- 意識の改善
- 現場の動きも考えて仕組みを作っていくことが大切
IoT活用の効果
- 品質管理
- CS向上
- サービス拡大
1.品質管理
燃料電池という特殊な仕組みによる問題と解決
- 現場での高いスキルが必要になる
- お客様からの電話問い合わせ
- ほぼ全て現地に出動
- 故障診断・修理
- 複数回に分けての対応が必要なケースが多い。
- 部品を持ち合わせてない場合も。
- 発電確認
- 現場待機時間が長い
- 燃料電池は普通の発電機みたいにパッと発電できるものではない。
- 半日近く発電までに時間がかかる
解決事例
- エラー発生
- AWS上のシステムからメール等で通知
- コールセンタ、品質管理部門、メンテナンス店に通知
- エラーコードから内容判断(ブレーカ落ちただけとか)
- 修理部品を事前手配の上、修理対応に向かう
- 待機時間
- 発電量データをAWSに上げる
- 手持ちのタブレットで発電状況を確認できる
- 修理が終わったら次の現場へすぐ移動できる。
- タブレットで発電状況を確認すればよい
- 現場待機する必要がなくなった
定量効果
- 出動件数を8%削減
- 初回訪問時完了率25%
- 滞在時間が1/3に短縮
品質管理
- 機器の初期不良
- IoT導入前
- エラー発生
- 問い合わせ
- メンテナンス店が対応
- 同様事例の蓄積
- 分析対応
- 結果的に時間かかる
- IoT導入後
- エラー発生
- サーバに接続されているエネファームの状況から同様事例の収集
- 分析-->対策
- エラー発生前のアプローチも可能になった
2.CS向上
- エネファームの「見守りサービス」
- スマートフォンアプリによる「省エネナビゲーション」「遠隔操作」
- 電気代をもっと減らすには?といった情報表示
- アドバイス情報の表示や電気代予測など
- 導入以前
- 電話ヒアリングして把握
- リモコンの表示内容の確認など
- 故障の可能性有無を見極め
- 必要に講じて現場訪問
- 導入後
- 電話でデータ確認の承諾をもらう
- データを確認してご説明
- 故障の場合のみ現場訪問
3.サービス拡大
- 積水ハウスのマンション事例
- 光BOX (NTT)ネットTVのシステム導入
- 大阪ガスのAWS(API Gateway)に接続
- このAWS環境から各マンションのエネファームの管理
- 今後の展開
- 他のガス事業者が販売しているエネファーム環境
- 台所リモコンや、大阪ガス・他事業者の社内システム
- 全てをAWS環境をハブとして接続
- 自社の機器だけでは限界
- 他社のAWS環境上のシステムやオンプレミスの商品・サービスと接続していきたい。
- API連携など
- このAWSに台所リモコンもつながっている
- APIなどの技術をつかって、様々な企業と新しい価値を模索していいきたい
感想
電気やガスなどの公共インフラに対する利用状況や改善提案をIoTやビッグデータを使って行うという事例は、数年前に海外事例として聞いたことがありました。 今はこうして国内でも実用化されるようになり、今後さらにクラウドを中心にIoTの導入事例が多くなってくると感じる内容でした。